PEAKを生きる

科学の力で、能力を最大化するブログ

失敗しない新年の目標を立てるには?心理学を駆使した最強の方法WOOP

f:id:kasajei:20180101214108j:plain

 あけましておめでとうございます。「1年の計は元旦にあり」ということで、新年になって目標を立てた人も多いのではないだろうか。でもちょっと待ってほしい。その目標は本当に実現されるのであろうか?そこで、心理学的に実証された目標の立て方について紹介したい。参考文献は「成功するには ポジティブ思考を捨てなさい」だ。

成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則

成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則

  • 作者: ガブリエル・エッティンゲン,大田直子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

ポジティブな夢は、実行力を奪う

 まず、ダメな目標の立て方を紹介する。それは、ただポジティブなだけの目標だ。例えば「痩せて健康になる」のような、ただポジティブなだけの目標だ。数値目標もなければ、行動目標も定めていない。このような目標は、逆に人間の行動を阻害することが分かっている

人は夢を見ているうちに、実行に必要なエネルギーをなくしてしまうのだ

 ポジティブな空想だけをしてしまうと、リラックスした気分になってしまい、結果として行動に移さなくなってしまう。イメージの力によって、脳が満足してしまうのだ。

メンタル・コントラスティング

 ではどうすればいいか。メンタル・コントラスティングという手法を使う。これは夢を思い描くだけではなく、その夢の実現を妨げる障壁を思い浮かべる方法だ。この手法を使うことによって、人は夢を見ながらも、それで満足することなく行動することができるようになる。

 「痩せて健康になる」のような目標の場合、障害となるのは「疲れていて運動ができない」「目の前にあるおいしそうなおやつの誘惑」などだろう。このような障害を先んじて思い描いておくことで、実際にその障害が現れたときに対応することができるのだ。

意志力に挑む IF-THENプランニング

 しかし、計画を立てていても実行できないという状況がある。人間の意志力は限られているので、疲れていると実行することをやめてしまうのだ。そこで重要な方法が、IF-THENプランニングだ。もしこのような状況になったときに、このような実行する、と先に決めておく手法だ。

 IF-THENプランニングをしておくと、意志力がないときでも実行を行うことができる。また、この時に決めておく実行は最小限のもので充分だ。例えば「疲れていて運動ができない」という状況において、30分ランニングするというのは難しい。だから「ランニングシューズにはきかえて外に出る」ぐらいにとどめておこう。

 しかし、実際にランニングシューズに書き換えて外に出ると、ちょっと走ってみようかという気分になるものだ。最初の一歩の心理障壁大きいだけで、いちど体が動いてしまえば後はスムーズに実行できる。ただ本当に疲れてる時もあるので、ランニングシューズにはきかえて外に出れば、目標は達成したことにしよう。難しい目標になればなるほど、実行する時の意志力が必要になる。これを前もって防いでおくのがIF-THENプランニングだからだ。

最強の目標達成方法WOOP

 さて、メンタル・コントラスティングとIF-THENプランニングを組み合わせた、WOOPという手法を紹介しよう。WOOPは目標のを考える順番になっており、次のように目標考えるのだ。

  • W : 願望「痩せて健康になる」
  • O : 成果「元気になる」
  • O : 障害「疲れていて運動ができない」(メンタル・コントラスティング)
  • P : 計画 IF「運動しようと思っても、疲れている時」→THEN「ランニングシューズにはきかえて外に出る」

 WOOPの方法を使うと、目標の達成率が上がることがわかっている。著者らは、リハビリ中の患者で実験し、WOOPを実行したグループはリハビリの運動が2倍増えたと報告している。他にも様々な実験が行われており、優位な差があったようだ。

 また目標については具体的な目標の方が良い。例えば「痩せて健康になる」よりも「5キロ痩せる」のような具体的で計測可能な目標の方が、よりよい結果を生むこともわかっている。ぜひこのWOOPという目標設定の方法を、今年は試してみてほしい。きっと良い効果が得られるはずだ。

僕のWOOP

 最後に、僕が立てた今年のWOOPを紹介したい。英語とアウトプットについて目標を立ててみた。

英語

  • W : 英語で情報をインプットできるようになる(日本語と同じレベル)。
  • O : 情報インプットの幅が広がる。好きな作家の最新刊をすぐに読める。
  • O : 英語を勉強する時間が取れない。英語の情報をスキップしてしまう。
  • P : IF(英語の情報に出会った時に)→THEN(1分だけでも読んでみる)

アウトプット

  • W : もっとアウトプットを増やしたい。
  • O : 知識が整理されるし、インプットの質も高まる。
  • O:めんどくさくなってしまう。間違うことを恐れるあまり、情報の裏取りに時間がかかる。
  • P : IF(これは面白い!と思った情報があったときに)→THEN(その日のうちにブログの下書きを書いてしまう)

目標達成のための、おすすめ本

成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則

成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則

  • 作者: ガブリエル・エッティンゲン,大田直子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

 WOOPという最強の目標達成の手段を、心理学的に詳しく説明しているのが本書だ。心理学的な実験の説明が長いので、少しくたびれるかもしれない。詳しく実験内容などを知りたい人にはとてもオススメだ。

http://woopmylife.org/home-1/

 (追記:WOOPに関しての公式のわかりやすいサイト)

脳が教える! 1つの習慣

脳が教える! 1つの習慣

 目標達成するには、習慣を変えるのが効率が良いことが多い。ダイエットや運動などはわかり易い例だろう。その時に参考になるのが、この本だ。脳科学的な知見から、どのように習慣を変えればいいか教えてくれる本だ。ダイナミックな習慣の変化は、脳が嫌がる。だから、気づかないような小さな変化を少しずつしていくことがポイントだ。

スイッチ! 〔新版〕― 「変われない」を変える方法 (ハヤカワ・ノンフィクション)

スイッチ! 〔新版〕― 「変われない」を変える方法 (ハヤカワ・ノンフィクション)

  • 作者: チップハース,ダンハース,Chip Heath,Dan Heath,千葉敏生
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/08/23
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

 象と象使いの例をメタファーに、目標達成について解説している本。WOOPよりもビジネスチックな内容になっている。また習慣の変え方として、環境を変えることが大切であると教えてくれる良書だ。