人狼ゲームにおいても、日常生活においても嘘をついている人を見抜く方法は重要だ。さて、日常生活において、嘘を見抜く方法を、一生懸命考えている人は誰だろうか?それは、警察官だろう。事情徴収や取調べの尋問は、ドラマでもよく見かけるだろう。被疑者から、正確な情報を引き出すことが、重要な仕事だ。
問責型の尋問
さて、ドラマなどでよく見る、怒鳴り散らす型の尋問は効果があるのだろうか。強面の警察官が「こらぁああ!!お前が嘘をついてるのはわかってるんだぞぉおおお!!!」と机を一蹴りするやつである。これは、問責型の取調べと言われており、被疑者を攻めるようにして嘘を暴いていく方法だ。
情報収集型の尋問
もう一方で、被疑者に自由報告を求める情報収集型の尋問がある。例えば、事件の状況を時系列で説明してください、と言ったようなものだ。被疑者により多くの情報を言ってもらうことで、嘘の手がかりを生じさせる方法だ。質問が認知的プレッシャーが大きくなるものほど、ボロが出やすい。
よくドラマで見かけるのは、問責型の取調べだが、実は情報収集型の尋問の方が、効果があることがわかっている。より多くの情報を得られるし、嘘の手がかりが生じることも多くなり、結果として嘘を見破りやすい。
人狼ゲームでの尋問
これは人狼ゲームでも使うことが出来る。例えば、占い師が二人出てきたとしよう。うち一方は嘘をついている状況である。この時に、自分の推理を時系列で説明してもらうのだ。本物の占い師であれば、占い先や推理まで自分の知っている確実な情報から、話をすることが出来るので、間違いは起きにくい。しかし、偽物の占い師は、すべてが作り話なので、認知的プレッシャーがかかりボロが出やすい。さっきと言ってることが違ったり、視点漏れが起きやすくなる。
アンチパターン
人狼ゲームにおいても、問責型の尋問ではゲームが進まない。一方的に意見を言うだけだと、村人から信用されないし、ミスリードしてしまう可能性がある。やはり重要なのは、ソーシャルスキルの一つである、他人の話をしっかりと聴くことだ。占い師で、人狼を見つけたとしても「お前が人狼だ!」と決めつけて、そのことばかりを主張しても信じてもらえない。色んな人の意見を聞いて、状況を的確に整理し、嘘の占い師にも説明させながら、進めていく必要がある。
アルティメット人狼で悪い例がこれだ。27分ぐらいに、ノエルが勝間和代に対して「すごい身勝手だな、この人」と言うのはまさにこれだ。それ以外の場面でも、勝間和代の話が自分視点すぎて村側が混乱しているのが分かるだろう。最終的に、勝間和代は正解していたので結果オーライなのだが、情報が一方的すぎて、かなり危険な状態を作り上げてしまっている。これは占い師としては悪い例なので、見習ってはいけない。頭が良い人がやりがちなミスだ。やるべきなのは状況を整理し、ノエルにより多く話をさせて、嘘をついているシグナルを出させるべきであったと思う。ちなみに27分前後で、ノエルは歌広場淳への返答でややボロを出している。
尋問と信頼
人狼ゲームでは、村側の総意で多数決で吊る人を決める。その時に必要なのは、信頼だ。問責型の尋問ばかりをしていると、信頼を失ってしまう。村側の合意形成のために、戦ってくれていると思われないからだ。一方で、情報収集型の尋問は、信頼も得られやすいし、人狼にボロを出させることもできる。ぜひ、人狼ゲームでも、他人の意見をしっかりと聞いて、嘘を見破って欲しい。
アルティメット人狼でも、ちゃんと人の話を聞くプレイヤーが多い。これは魅せる人狼だからでもあるが、それ以上に人狼を見破るためのテクニックなのかもしれない。
人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学?嘘と説得、コミュニケーショントレーニング
- 作者: 丹野宏昭,児玉健
- 出版社/メーカー: 新曜社
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