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幸せとお金の経済学 - 中間的所得層が幸せになるには、地位獲得競争にお金を費やすべきではない

 幸せになるにはどうしたらいいのだろうか? 給与が上がっても、暮らしは裕福になったような気がしない。これはなぜなのだろうか。その理由を、経済学的な知見から解説した本が「幸せとお金の経済学」だ。

 この本の原著タイトルは「Falling Behind : How Rising Inequality Harms the Middle Class」であり直訳すると「遅れをとらないように生きる中間的所得層ーどのように不平等が中間所得層を害してきたのか」だ。中々えげつないタイトルだ。

幸せとお金の経済学

幸せとお金の経済学

相対的欠乏により中間的所得層が損をする

 中間的所得層がどのように貧困を感じ、なぜ今のような消費行動をとっているのかを論じている本だ。それを説明するためのキーワードになるのが「相対的欠乏」だ。これを説明する端的な事例を紹介しよう。

金持ちが大きい家を建てると、庶民の家まで大きくなる

 誰かが大きな家を建てると、必要もないのに自分も大きな家に住みたいと思ってしまう。これは他人との比較によって価値が生まれ、そのため逆に自分が持っていないと欠乏を感じてしまうのだ。このような状態を相対的欠乏という

地位財と非地位財

 この相対的欠乏により、無駄で身の丈に合わない消費を繰り返してるのが中間的所得層だ。他人と比較することによって価値が生まれるものばかりにお金を使うと、それ以外のものに使えるお金が少なくなってしまう。そのせいで幸福度が下がってるというのだ。

  • 地位財 = 他人との比較優位によって初めて価値が生まれるもの(例:所得、社会的地位、車、家など)
  • 非地位財 = 他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)

非地位財にお金が回らないから不幸になる

 この本の命題を見てみよう。

  • 命題① 人には相対的な消費が重要だと感じる領域がある
  • 命題② 相対的な消費への関心は「地位獲得競争」、つまり地位財に的を絞った支出競争につながる。
  • 命題③ 「地位獲得競争」に陥ると、資金が非地位財に回らなくなって幸福度が下がる。
  • 命題④ 中間所得層の家庭では、格差拡大によって「地位獲得競争」から生じる損失がさらにアップした。

 自分の状況と照らし合わせで見ても、よく理解できる命題だ。

現実

余分にかけたお金の見返りは小さい

 そうだよなぁと思いながらも、なかなか抜け出すことは難しい。生存競争のため、見栄を張ることが重要だったりもするのだ。

 もっと給料欲しい。もっと大きな家に住みたい。しかし、そのことばかりを考えていると幸福度は下がってしまうことには意識しておこう。相対的欠乏という言葉を知っているだけでも、助けにはなるだろう

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