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まるでプロの味?Anovaで真空低温調理!理論編

2016年の買ってよかったもの」中に、Anovaという調理器具を紹介しました。超おすすめ!なんですが、アメリカの製品でして日本語の情報が少ないんですよね。

  • 理論編
  • 肉編
  • 魚編

と3部作で、真空低温調理とそのレシピについて書いていきたいと思います

めっちゃ美味しいからオススメ!ってことを先にお伝えしてきます。また料理も科学的に行うと、楽しいですよ!

参考書はこちらです

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

AGEs(最終糖化産物)をできるだけ取らない

AGEsは日本語で最終糖化産物と呼ばれます。これを大量に摂取すると癌など、さまざまな病気になりやすいと言われています。

よく子供の頃、焦げた焼肉を食べようとすると「癌になるよ」と言われたアレです。

高温で熱するとどうしても発生してしまいます。

そこで料理は高温で長時間しないほうが良いのです。焼くよりも、茹でたり蒸したりするのが身体には良いのです。

油が酸化する観点でも揚げ物は最悪なのですが、高温調理の観点でも揚げ物は避けるほうが良いでしょう。

真空低温調理って?

温度を一定にした水槽の中に、真空にした素材を入れることで、調理する方法です。なぜ、真空低温調理すると美味しいのか?はタンパク質の熱変性で詳しく見ていきたいと思います。

温度を一定にする

Anovaは水槽の温度を一定にしてくれる機械です。サーキュレーター機能もついているため、十分ほどで温度を指定の温度にあげてくれます。

ほかの商品だと、温度を一定に保てなかったり、温度に達するまでの時間が長かったりします。その点でAnovaが一番ですね。

また、Anovaはいろんな大きさの鍋につけて利用することができるので、鍋さえ変えればいろんな人数の料理を作れるのも、他の商品とは違う利点です。

真空にした素材

真空にするのが一番いいのですが、真空にするのは難しいです。

真空低温調理における、真空にする理由は、水槽の水の温度が素材にちゃんと伝わるようにするためです。

そのため、袋ごと真空でなくても、素材の周りが真空であれば問題ありません。

ジップロックに入れてから、ストローで空気を吸ったり、水につけるだけでも素材の周りは密着します。真空にこだわる必要はありません。

タンパク質の熱変性

さて、真空低温調理がなぜおいしいのか?の説明をしたいと思います。

それは、タンパク質の熱変性になります。卵を茹でると、透明な卵白部分が白くなったり、黄身が固くなったり、パサパサになったりしますよね。これがタンパク質の熱変性です。

ミオシンは40度で変性が始まる

まずミオシンはタンパク質の一種です。このタンパク質が変性するのが40度ぐらいです。

このタンパク質は変性したほうが美味しいです。

アクチンは66度で変性が始まる

アクチンもタンパク質の一種です。このタンパク質が変性するのが66度ぐらいです。

このタンパク質が変性するとパサパサしたりすると言われています。鶏肉で料理すると顕著ですが、焼きすぎると美味しくなくなってしまいますよね。魚もカピカピになったりするのはこれが原因です

メイラード反応

160度以上で起こる反応です。鉄板などで焼いた時に、香ばしいいい匂いがするのはこの反応のためです。

フライパンで焼いたり、ガスバーナーで焦げ目をつけたりします。

これは、AGEsが発生しているので、ほどほどにしておきましょう。でも美味しそうにするためにちょっと利用しましょう。

真空低温調理が美味しい理由

真空低温調理が美味しい理由はタンパク質の変性をコントロールするからです。ミオシンは変性させたいが、アクチンはさせたくありません。

すると、温度を40度以上、66度未満で保って調理がしたくなります。しかし、既存の調理器具ではそのような方法がありません。

そこで、この真空低温調理器具のAnovaを使えばそれができちゃうわけです。

食中毒に気をつけよう

さて、問題が1つあります。それは食中毒です。40度だと、細菌がとても活発になってしまい、食中毒にかかる確率が上がってしまいます。

70度以上で熱すると一瞬で細菌は死ぬのですが、するとアクチンが変性してしまいます。ではどうしたら良いでしょうか?

できれば60度以上30分以上

最高温度で生きれる細菌はセレウス菌の55度です。これは生存できるギリギリの温度なので、この温度で死滅するとは限りません。

さて、食中毒になる細菌を死滅するにはどうしたら良いでしょうか?

調べた結果できれば「60度以上30分以上」が安心です(ただし自己責任でお願いします)

厚生労働省が出している「非加熱食肉製品のガイドライン」において、安全のための殺菌温度が書いてあります。

これをみると55度で30分でも大丈夫そうです。できれば60度以上が推奨で、どうしても温度を下げたいときは55度までは下げてもオッケーと覚えておきましょう。

これ以下の温度で調理するレシピがサイトに載っていたりしますが、食中毒のリスクが有ると覚えておきましょう。

肉は63.5度がベスト

さて、肉は何度がベストでしょうか?ガイドラインをみる限り55度30分以上で大丈夫そうです。

しかし一方で、アクチンが変性が始まるには66度まであるので、その間でいい塩梅を見つけるのがいいでしょう。

僕は肉は63.5度で30分以上と決めています。

僕は生っぽい肉があまり好きではないので、この温度が一番美味しく感じるみたいです。

魚は55度がベスト

魚は温度が低いほうが断然美味しいです。なので、ガイドラインとしてはギリギリの温度で調理します。55度で30分です。(魚のガイドラインが見つからなかったので、肉のガイドラインの温度を参考にしています)

きるだけ新鮮な生でも食べれそうなものを選ぶと良いでしょう。

サーモンは40度で調理すると最高!と聴くこともありますが、僕は怖くてやっていません。刺し身で食べれるサーモンでも、菌が付着していて40度に保つと、菌が増殖してしまうので、怖いんですよね。

なので、魚は55度で30分がベストです!

調理の流れ

さて、調理の流れを説明したいと思います。

  • Anovaで水温を55度 or 63.5度にする
  • その間に、素材に味付けをしてジップロックに入れる
  • 水温が指定の温度になったら、素材を入れる
  • 30分待つ(ミオシンの変性)
  • 出来上がったら、ジップロックから取り出し、フライパンで一瞬焼く(表面についている細菌の死滅と、メイラード反応)
  • ジップロックに残った液体をプライパンで熱して、肉or魚にソースとしてかける!
  • 盛り付けて完成!

こんな感じです。やることは殆ど無いので、楽ちんです。30分待つので、その間に他の料理とかが作れちゃいます。

「プロの味か!」と思うぐらい、美味しい料理が作れてしまうので、ぜひ試してみてください!

僕はAnovaのおかげで、自炊するのが楽しくなり、自炊の回数も増えました!おすすめ!