ヴィパッサナー瞑想合宿から帰ってきた。お久しぶり、インターネット。ヴィパッサナー瞑想合宿に行くことになった経緯を書いたので、今回は行ってきた感想を書きたい。
まず、一番気になる質問は「行ってよかったのか?」であろう。10日間(実質ほぼ12日間)外部との接触を絶ち、瞑想三昧の生活は想像を絶する。社会人ともなれば、このハードルは大きく立ちはだかる。それでも僕はハッキリと「行ってよかった」と言うことができる。この合宿で得られたこと、そしてその効果には感謝しかない。合宿の具体的な内容についても気になるであろうが、まずは効果について紹介したい。
頭がクリアだ
効果に関しては、驚くほど感じている。脳の反応が明らかに変わっており、明晰に考え事が出来るし、直感的な理解も早い。以前からあったストレスは減っており、不安や心配のようなものも少なくなっている。また、日常生活に戻ってきて感じていることは、新しいストレスを感じにくくなったことだ。また睡眠の質も向上していることを感じている。
明晰な思考
明晰に考え・直感的に理解できるようになったことに気づいたのは、合宿中だった。合宿中の休憩時間は、ほとんどやることがないため、寝る・散歩・考えるぐらいしかできないのである。その時にいろいろ考えていたのだが、考え事が進む進む。驚くほどに進むのである。もちろん山の中の開放的な自然の中で、連絡手段を断ち切っている効果も大きいだろう。外部から刺激が入らないことは、考えることに重要なのだ。それでも、瞑想そのものの効果も大きいだろう。日に日に増していく、思考の明晰さに驚くばかりであった。また参加者の中にも「たくさんアイディアが浮かぶようになった」「普段は思いつかないようなことを考えていた」などと言ってる人もいた。
拝啓 私の中に潜むストレスさん
ストレスが減ったと感じたのは、初日にスマホの電源をオフにした時だった笑。そして、そのスマホを施設の人に預けた時の開放感は凄まじかった。これほどまでに、常時インターネットにつながっていることが緊張感を生み出していたのかと思い知ることになった。また、自然の中で生活している効果も計り知れない。それでも瞑想によって悩みや日常生活についての考え事は、どんどんなくなっていくことがわかる。そんなことに固執し、悩んでいたのかという気づきはストレスを開放してくれた。考える癖のようなものが、瞑想によってなくなっていき、そのもの事態をそのまま受け入れることが出来るようになっていく。
日常のストレス
新たなストレスを感じにくくなったことには、日常生活に戻ってから気づいた。今回の瞑想合宿の効果で一番驚いたのがこれであった。明らかに感覚の感じ方・脳の反応が以前と違うのだ。すこし詳しく例をあげて紹介したい。
無意識の不快感
ストレスというものは、いろいろな状況に応じて感じている反応だ。それによって、心理的状態に悪影響を及ぼしているものがある。簡単な例をあげよう。例えば、30度を超える日差しがさんさんとさす中でオフィス街を歩いてると「今日はなんてアツいんだ。死んでしまいそうだ」などという不快感を感じるのである。これは簡単なものだが、こういう些細なことでも積み重なっていき、1日が終わるとドッと疲れるのである。特に対人関係におけるストレスというものは、思っているよりも大きい。
暑さは肌で感じている
さて、このストレスが瞑想合宿を終えてどのようになったか。驚くことに、ストレスを感じにくくなったのである。しかも、それは奇妙な体験とともに、日常生活で感じることとなる。よく説明される例だと「アツいなぁ」と感じた時に、それをそのまま捉えれば、不快感を感じなくなるという説明がなされる。これも十分な進歩なのであるが、僕の体験はさらにもう一歩先を行っていた。焼きつけるような太陽に直面した時に感じたことは「肌がジリジリとする」という肌の感覚だけであったのだ。そのジリジリとした、なんの判断もされてない肌の感覚をしばらくの間感じ取っていた。そしてしばらく歩いていると、汗の感覚を感じ取っていく。そこでふと気づいた「あぁ、アツいな、今日」と。そして「あぁ、これをアツいって言ってたんだな」という事に気がついた。これは凄まじい体験だった。
私を苛立たせる罪のない人たち
対人関係でも同じである。さまざまな意識的・無意識的な感覚や言葉などから、われわれはストレスを感じている。仕事していると、そのようなことはしょっちゅうあるだろう。「なんでこの仕事を自分がやらないといけないのか」「なぜこんなギリギリになって、緊急の仕事を振ってくるのか」そういう類のストレスは、本当に無意識的に溜まっていっている。しかし、それにも不快な感情が生まれる前に気づくことが出来るようになっていることに、驚いた。10日間も休んでいたので、返信すべきメールが溜まっていたのだ。僕は長ったらしいメールが嫌いで、そういうメールが来ると「なんでこういうメールしか書けないの?バカなの?」とすぐに反応して、イライラを募らせていた。しかし、帰ってきてからは感情的な反応が少なくなり「僕に連絡するときは、要件だけで良いですよ、とメールしてあげようか」と問題解決的な思考が次に来るようになった(どうやらフォーマットが決まっており、それに従って送っていていたわけなのであるが。どっちがどこの手間を請け負うかという話であるか、と冷静になった)。もちろん、すべてのストレスを感じなくなっているわけではないので、無理が効くようになった(どんな仕事も平然にこなせる)という話ではない。おそらくどんな仕事も平然とこなせるレベルに到達してしまったら、仕事をしなくなると思う(出家)。
回復力の向上
睡眠の質は明らかに向上している。これは、瞑想合宿中は凄まじい改善効果だった。もちろん、瞑想と食事と散歩以外には、ほとんど何もやってないので、それほど疲れることはない。また自然の中にいることもあり、睡眠の質は自然と向上していたのであろう。朝に起きた時の爽快感は、今までに感じたことがないほどだった。それも4時間半ぐらいしか寝てないのにである。合宿から帰ってきてからも、6時間で十分満足できる睡眠時間となっている。以前までは、8時間寝たらスッキリするなという感じだったので2時間の圧縮は嬉しい。その時間を瞑想の時間に当てている。僕はほとんど夢は見なかったのだが、参加者の中には「夢を見るようになった」と言ってた人が多かった。夢は見るほうが、問題解決能力が上がるので、夢は見たほうが良いことが研究でわかっている。
感覚を凝らしてくれ
合宿から帰ってきて日常生活に置いて感じたのは、感覚が鋭くなっていることだった。例えば、音楽を聞いていても、いつもとは違った音が聞こえてくる。「この曲こんな音が入ってたんだ!」というのを知る。耳の訓練はしてないのだが、頭が明晰になり、音を的確に捉えることができるようになったのだろう。また味や食感もそうだ。これは合宿中に同じご飯(いつもより薄味)を食べていたのが原因かもしれないが、これも驚いたことだった。お米ですら、かなりの違いを感じるようになっていた。また違いにも気づくようになった。街が変わったことにも気づいたし、それに、よく使ってるサービスのちょっとしたデザインの変更にも気づくことができた。感覚が鋭くなっていると感じる。
主観的体験と実証主義
ヴィパッサナー瞑想合宿での効果や、帰ってきてから日常で感じた効果を紹介した。瞑想の研究でよく知られている効果を、自分でも体感できたことはとても嬉しい。しかも主観のレベルで、これだけ変わるのだから驚きだ。 これを感じるために是非合宿に参加してみて欲しい。その効果に驚くことだろう。僕は本当に参加してよかった。ヴィパッサナー瞑想合宿の運営とその歴史を守ってきたみなさん、一緒に参加した仲間達、そして10日も休ませてくれた会社のみなさん。そして、このコースを作って世界中に広めてくれたゴエンカ氏。最後に、ゴータマ・ブッダ。本当にありがとう!まだまだ最終ゴールまでは遠いけど、瞑想を続け、精進したい。瞑想を続けるモチベーションが強烈に感じられたのが、本当に良かった。
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